いーかわらばん vol.130
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2004/05/19
- vol.130
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
メール便競争
■ 2. 山崎発、経営を考える
オリジナリティへの執念
■ 3. 今月の本棚
『日本はなぜ行き詰まったか』(森嶋通夫著 岩波書店 2500円)
■ 4. おしらせ
お詫び
■ 1. 時の話題
<メール便競争 >
前回のかわらばんvol.129「時の話題」では、セブンイレブンを取り上
げました。また、vol.128の「山崎発、経営を考える」では、ヤマト運輸
が、翌日配達という最高レベルを設定したことが、成功要因の一つ
であることをお話ししました。
従来から緊密な関係にあった両社ですが、郵政日通連合対ヤマト
というメール便競争が、ローソン対セブンという、コンビニを巻き込
んでの競争に進化してきました。
メール便は、A4サイズの封筒を中心に、文書や書籍を送るもので
個人宛の信書は扱えませんが、パンフレットの送付は可能です。
ヤマト運輸は、セブンイレブン、ミニストップ、スリーエフの店頭で、メー
ル便の発送を受け付けることで合意し、今後ファミリーマートも参加する
予定であることから、2万箇所をこえる発送窓口を手に入れることができ
ることになります。
一方、一足早く仕掛けた郵政公社は、日通と共同で、ローソン、シーアン
ドエス、デイリーヤマザキ、エーエムピーエムなどと提携しており、業界
をまっぷたつに分けた争いが今後展開されていくことになりそうです。
私はこのメール便競争を次の二つの視点から、興味を持って見ています。
一つは、カタログやインターネットを使った通販が女性消費者やオフィス
に浸透する中で、元官庁と民間企業の生産性やサービスレベルにどの
ような発想の違いが表れてくるか、という点です。
二つ目は、このメール便競争を、商流、物流はもちろん、情報流、金流
(金融)をも含んだ、総合ネットワーク競争ととらえた場合、どのような仕
組みが顧客に支持され、何が支持されないのか、が早晩明らかにされて
いくだろう、という点です。
今後の両陣営の動きが非常に楽しみです。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<オリジナリティへの執念>
ここ数回は、最高レベルの目標の必要性を、
① Whatを生み出す力
② スピード
という二つの視点からご説明しました。
今回は、「独自性への執念」という視点です。
前々回にお話ししたヤマト運輸の翌日配達のように、最高レベルを目指し、
実現するためには、従来の発想、他社の発想とは異質のものを徹底追究
する姿勢が要求されます。
何をすべきか、何をしたいか、は、「Whatを生み出す力」ですが、それを
「やり切る」「し遂げる」ためには、どうしても、この「独自性への執念」が
必要です。
いいかえれば、
「独自性という点で、まあいいか、と妥協しないで、やり遂げる強さ」
があるかどうかが大事です。そして、これは、かなり前に説明した「まあ
ええやん症候群」とも、密接に関連します。
そして、この独自性への執念は、先天的なもの、育った環境が大きく影響
することはいうまでもありませんが、もし後天的な部分があるとすれば、そ
の一つは、最高レベルを追究し、妥協を許さない仕組みや風土、です。
皆さんの会社に、このような妥協を許さない仕組みや風土はあるでしょうか。
「妥協を許さない」と言うと一見難しそうですが、たとえば日常的な「値引き」
という行為にこれが表れます。
価格引下げ競争は、「独自性への執念」とは、まさに正反対の概念です。
今値下げをして、シェアを取ってしまうことによって、将来相当な余剰を手に
することができる、ということが明確な場合は、確かに許されるかもしれませ
ん。しかし、そういうケースは、今はもう少ないでしょう。
通常は、価格競争=同質競争であって、値引きは、独自性を放棄し、自ら
価値がないと認めた、という行為なのだ、という価値観を定着させることは
きわめて重要です。
もちろん、それを定着させるためには、それこそ、商品や営業に「独自の」
付加価値が要求されるわけですが・・・
最高レベルを目指すことは、「独自性に対する執念」という風土を醸成する
ためにも必要である、ということを、もう一度考えてみていただきたい、と思
います。
■ 3. 今月の本棚
<『日本はなぜ行き詰まったか』(森嶋通夫著 岩波書店 2500円)>
著者は、ロンドン大学スクールオブエコノミックスの経済学教授で、この本
も英語で書かれたものの翻訳版です。
同時に、序論に書いているように、1981年にケンブリッジ大学で行われ
た「経済とイデオロギー」(日本では『なぜ日本は「成功」したか』というタイ
トルで出版されています)というマーシャルレクチャーの続編です。
この本の特徴の一つは、日本の成功が1990年でストップして、その後
立ち直ることができない理由を、経済学はもちろん、歴史学、教育学、宗
教学という3つの視点から、広く、深く考察している点です。
二つ目の特徴は、資本主義を、「上からの資本主義」(上型)と「下からの
資本主義」(下型)という概念に分けていることです。
そして、しっかりとした日本型儒教により支えられてきた上型が、下型に
移行していく段階で、中途半端なアメリカ式教育が行われたことに大きな
問題がある、と指摘しています。
三つ目の特徴は、21世紀の日本を
「生活水準は相当に高いが、活動力がなく、国際的に重要でない国」
とイメージしていることです。
若干、儒教のとらえ方が偏っているのではないか、という危惧を抱きまし
たが、今後の日本の教育、社会、経済を考える上では、必読の書といえる
でしょう。ぜひご一読ください。
■ 4. おしらせ
<お詫び>
前回のお知らせでオープンセミナーのご案内をさせて頂きましたが、終了時間に
誤りがございました。終了時間は午後3時30分です。
セミナー参加を予定されている方はご変更お願い致します。
オープンセミナーのお知らせ
日時:6月16日(水)14:00~15:30 場所:阪急グランドビル26F
テーマ:「関西経済復活のシナリオ」
・20世紀企業と21世紀企業は逆の方向に動く!
・事業創造における「ものづくり技術」のありかた
・顧客視点に立った事業創造の成功原則
・人の問題・・・経験と知恵が比例しない理由
・「高度自立型組織」の要件とは?
お問い合せ:清話會関西支局 06-6361-2351
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次回のテーマは以下の通りです。
- 1. 時の話題
- 2. 山崎発、経営を考える
- 3. 事業承継の真視点
- 4. おしらせ
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