いーかわらばん vol.127
- いーかわらばん
- 株式会社アウトオフィス
- 2004/04/21
- vol.127
▼INDEX▼
■ 1. 時の話題
プライバシー情報流出!
■ 2. 山崎発、経営を考える
Whatを生み出す力
■ 3. 事業承継の真視点
プライベートな争い=社長の座を巡る争い
■ 4. おしらせ
いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載いたしました。
■ 1. 時の話題
<プライバシー情報流出!>
ある名簿業者を訪れた人の話・・・・
大学、高校の同窓会名簿や、各業界団体の会員名簿、企業の社員名簿
など数百が並び、さらに、それらが、たとえば、
・5回以上購入の通販マニアリスト、
・某高級車購入者リスト、
・サプリメント系商品購入者リスト、
・生命保険加入者リスト、
・六本木の某クラブ会員リスト
などに見やすく分類されていて、思わず自分の名前やアドレスを探す誘惑
にかられるとのこと。
しかも、コピーなら1ページ25人分くらいが400~500円、データ購入であ
れば、属性情報付きで、一件数百円から数千円が相場だそうです。しかし、
こんな情報が勝手に空を飛んで、名簿業者に落ちるわけはありませんから、
どう考えても、会社や団体等の組織から売られたか、盗まれたモノであるこ
とは確かです。
考えてみれば、ローソンの50万人に始まって、三洋信販200万人、ソフト
バンクBB450万人、ジャパネットたかた60万人、等々の情報流出は、氷
山の一角なのでしょう。
われわれはこれらにどう対応していくべきでしょうか。
企業としては、CRMなどで蓄積してきた情報が漏洩することは、とんでもな
い信用失墜になりますので、まずハッカー等に対する防御が必要になります。
しかし、情報漏洩はこういった外部要因よりも、内部の不満分子や、「のむ、
うつ、かう」で金に困った従業員による犯行がほとんど、というのが実情の
ようです。ハード的に暗号設定等の措置をとることはもちろんですが、内部
の人的管理体制の新たな仕組みが必要、との意見も出ています。
さらに消費者の立場からすれば、あまりいい加減なところで、自分のデータ
を公表しない節度が必要でしょう。プライバシー情報先進国のアメリカでは、
自分のデータを提供したことの自己責任問題と、企業側の情報保護の姿勢
が、「対価」で勘案されるという暗黙の了解があるようです。
すなわち、安いところでは情報漏洩の危険があるからあまりデータを出さな
い、高いところではそれなりの体制が整っているはずだからデータを出して、
万一流出等の問題が生じたら、思い切り損害賠償請求をするぞ、ということ
です。裏返せば、価格にはそういった情報保護のコストも入っている、という
見方になるわけです。
日本はこういった消費者の自己責任の視点がまだまだ未熟な状況です。し
たがって、情報保護を価格に転化することはできませんし、当面は、各企業
に相当レベルの管理コストが要求されることを覚悟しなければらないでしょう。
■ 2. 山崎発、経営を考える
<Whatを生み出す力>
前回は、目標管理を成功に導くために「最高レベル」の目標の必要性を
強調しました。そして、最高レベルが効果を持つ理由の最初に、「Whatを
生み出す力」=「何をしたいのか、何をすべきなのかを決断する力」につ
いて考えてみたいと思います。
思い起こしてみますと、急激な円高に見舞われた昭和60年代初め、堺
屋太一氏が、いくつかの著書の中でHowの時代からWhatの時代へ、とい
うことをしきりに書いていました。
アメリカの背中を追いかけることで何をすべきかはわかっていて、むしろ、
いかに効率的に行うかということに集中できた時代から、先が見えなくな
って、まず何をするかを決めなければならない時代への変化、この意識
転換ができるかどうかが企業成長の決め手になる、といった点がが強調
されていたように記憶しています。
しかしながら、昭和60年代初頭は、Whatを創らなければならないのは、
まだトップ陣のみだったと思います。そして、そのWhatを受けて、中堅幹
部がHowを考え、さらに一般社員がそのHowを実践する、とういことでピ
ラミッド型組織の役割分担が、一般的には、できていました。
あれから20年近くが経過し、Whatを生み出す力は企業の隅々にまで重
要な時代になってきました。というより、企業の第一線の人たちにこそ、こ
のWhatを生み出す力が要求されるのです。
これは、私が常に申し上げている「川上川下逆転現象」が大きな原因で
す。顧客に一番近いところで仕事をしている現場の人たちこそ、顧客が
自社の真のファンになってくれるために何をすべきなのか、を体でわか
るはずなのです。
そして、これを「最高レベル」でとらえることは、「できる、できない」では
なく、「してあげたい、すべきだ」という視点でWhatを考えることにつなが
ります。これぞ「自立型人材」の根元の姿勢だと思います。
第一線の人たちがこのような自立性をもって進むことは、何をすべきか
の答えを第一線の人が持たなければならないことを意味します。したが
って、従来Whatの答えを持っていたトップ陣は、自分の役割をより広く、
より深く、より未来のWhatを考える次元に昇華させることになります。
一方で、第一線の人たちがよりWhatを生み出しやすい環境を創ること
も、重要なトップ陣や中堅幹部の仕事になるでしょう。昨今「コーチング」
が注目されるにいたった本質的背景はここにある、と私は見ています。
振り返ってみれば、昭和60年代初めは、日本経済がほんとうに自立を
余儀なくされた分岐点だったのでしょう。為替面での急激な円高は、その
一つの表れです。
今回は、最高レベルをとらえることは、Whatを生み出す力につながり、
それは自立型人材の根底ということを、ご説明しました。次回は、最高
レベルのその他の効果についてお話をしたいと思います。
■ 3. 事業承継の真視点
<プライベートな争い=社長の座を巡る争い>
前回は、事業承継は何を引き継ぐことか、という点に対して
「会社と会社が持つ資源を自分の思うがままに動かすことのできる権限と
責任を承継する」
ということが重要な一つの視点である、ということを申し上げました。
今回からしばらくは、さまざまな事業承継を見てきた私の経験から、強烈
に感じた教訓を、順次お話ししたいと思います。
まず、第一は、プライベートなはずの遺産分割をめぐる争いが、実は、会
社の社長の座を巡る争いに発展するケースが稀ではない、ということです。
ちょっと考えれば当たり前のことですが、これは、非上場会社の場合、ほ
とんど換金の自由性のない自社株式がむりやり評価されて、相続財産の
中に組み込まれるといった現在の仕組みから来る悲劇です。
ある会社で、こんなことがありました。
先代が相続税を少しでも安く、と思ってしかけた子供や孫への自社株分散
の結果、亡くなった父親の株式を全部相続し、奥さんや子供の分を入れて
も、相続人誰一人、持株割合は、50%を超えないという状況になりました。
先代は、社長なんてみんなの支持があって初めてできるものだから、自分
が死んだら、みんなで相談して決めればいい、というのが生前の口癖だった
ようです。商法だって、株主が取締役を決め、取締役会で代表取締役を決
める、というふうに規定されているではないか、だから、株主である兄弟が
みんなで相談して決めることがベストなんだと・・・
たしかに建前はそうでしょう。しかし、こと「相続」という事態まで、商法は充
分に考えてできているわけではありませんし、また、どちらかというと上場会
社を中心にして規定されている側面が強いのも事実です。
結局、遺産分割を巡ってそれまで仲のよかった兄弟が、その配偶者も含め
てもめにもめ、約3年間、遺産分割が決まらない状況が続いたのです。
その間、株主総会は開かれず、社長も決まらず、会社の経営は空転し、優
秀な従業員も一人二人と会社を去っていき、好業績だった財務数値もガタ
ガタになってしまいました。まさに、プライベートな争いが、経営にもろにマイ
ナス影響を与えた典型的なケースです
どうすればよかったのでしょうか。こういったことに対する対処法と、さらに
結果として自社株を相続した長男のその後の苦しみについて、次回お話す
ることにより、また次の教訓につなげていきたいと思います。
■ 4. おしらせ
<いーかわらばんのバックナンバーをホームページに掲載いたしました。>
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次回のテーマは以下の通りです。
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